一元配置反復測定分散分析(rstatixパッケージ)

 同一の被験者が3条件下で血圧を測定し、測定環境の違いが血圧に及ぼす影響を調べたかったとします。データは以下の通りです。このようなデータは、対応のあるデータとなり、反復測定分散分析が使われます。

conditions

subjects

bp

a

s1

102

a

s2

102

a

s3

110

中略

中略

中略

b

s1

112

b

s2

105

b

s3

106

中略

中略

中略

c

s18

120

c

s19

117

c

s20

120

分散分析のコードと結果は以下の通りです。

> anova_test(data1, bp ~ conditions + Error(subjects|conditions))
ANOVA Table (type III tests)

$ANOVA
      Effect DFn DFd      F        p p<.05   ges
1 conditions   2  38 49.099 2.93e-11     * 0.592

$`Mauchly's Test for Sphericity`
      Effect     W     p p<.05
1 conditions 0.984 0.862      

$`Sphericity Corrections`
      Effect   GGe      DF[GG]    p[GG] p[GG]<.05   HFe      DF[HF]    p[HF] p[HF]<.05
1 conditions 0.984 1.97, 37.39 4.11e-11         * 1.097 2.19, 41.67 2.93e-11         *

anova_test関数を使い、目的変数(アウトカム指標、ここでは血圧)と説明変数(要因、ここでは測定環境)を ~ で結ぶところまでは対応のないデータの分散分析と一緒です。対応があるデータということを記述するために、Error(subjects | conditions)を追加します。Error()の中は、| で区切られています。測定環境は、同一の被験者で測定した、ということを記載している、と理解しておきましょう。

$ANOVAは通常の反復測定のための分散分析(typeⅢ)で、$`Mauchly's Test for Sphericity`は球面性の検定であり、分散分析ではありません。$`Sphericity Corrections`は自由度を補正した分散分析の結果で、Greenhouse-GeisserとHuynh-Feldtの方法についての結果が示されています。球面性の仮定が成立しないような場合、自由度補正法を使います。Greenhouse-Geisserの方が結果は保守的になるようです。

自由度補正法のGGeはGreenhouse-Geisserの統計量ε、DF[GG]は自由度、p[GG]はp値、HFeはHuynh-Feldtの統計量ε、DF[HF]は自由度、p[HF]はp値です。今回の結果は通常のANOVA、自由度を補正したANOVA、どちらでも主効果が確認されできる結果となっています。

主効果が確認された場合、多重比較を行うことがあります。多重比較のコードと結果は以下の通りです。

> data1 |> t_test(bp ~ conditions, paired = TRUE)
# A tibble: 3 × 10
  .y.   group1 group2    n1    n2 statistic    df            p        p.adj p.adj.signif
* <chr> <chr>  <chr>  <int> <int>     <dbl> <dbl>        <dbl>        <dbl> <chr>       
1 bp    a      b         20    20     -4.24    19 0.000441     0.000441     ***         
2 bp    a      c         20    20     -9.45    19 0.0000000129 0.0000000387 ****        
3 bp    b      c         20    20     -5.95    19 0.00000989   0.0000198    ****        

パイプ演算子を使ったコードで表示しています(このくらいのコードではパイプ演算子を使わなくてもそれほど、解読しにくいわけではありません)。対応のあるt検定のときの入力規則と全く変わりません。水準が3つ以上になり、複数の組み合わせになったので、自動で多重比較補正の結果も返してくれます。
結果です。多重比較はt検定のホルム補正法です。補正されたp値を確認すると、すべての組み合わせで有差があることが理解できます。




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